新しい生活には不安が伴うものだ。こちらが見所があるな、あとこれくらいで出せるな、と思っていても真面目にしっかりした人ほど自分がちゃんとやっていけるのかが不安になるようだ。だから、今あなたは一人前になるまでの過程の中のどのあたりに来ているのかを適宜見せる。自分の位置がわかるとあとどれくらい頑張ればいいのかが理解できて不安もやわらぐ。自分は先々プロの国語専門塾の講師になれるんだという自信も出てくる。本当に自身がつくのは3年かかるのだけれども。
人を育てる
人を採用したらきちんと愛情をかけて教える。やってみせて、やってみせて、やってみせて、やらせて、やらせて、やらせる。できるようになったら褒める。不思議と誉めちぎったことはそのあともシッカリやってくれる。始めにきちんと教えて基本を押さえさせればある程度のところで勝手に伸びていく時期がくる。それで少し手が離れる。
始めにきちんと教える
人を採用したら放っておいたらいけない。仕事は盗むものだ。とか、背中を見ておぼえろ。とか、そういう考えもあるけれども、普通のなにも知らない素人が何を理解できるだろう。親が教えたら何時間もかかって、しかも、怒鳴りながら。親も子もへとへとになりながら学ぶ。それを数分で理解させて、できるようにする。その胆を徹底的に教えるのだ。プロになりたいからここへきたのだから。どんどん教える。そのかわり、これならOKだな、と思えるまで決して出さない。それだけの力がその人に備わらないなら出さない。それが厳しさだと思っている。
乗り越える
乗り越えるのは本人にしかできないことだ。回りの人間は信じて見守ることしかできない。だが、大丈夫だなとわかるようになる。回りがやれるだけのことをやってあげると、やがてその人自身から力強さと言うか安心感がにじみ出てくる。そうなると本人も回りも落ち着いてくるものだ。大丈夫だなというふうになってくるのだ。それが乗り越えたということなのだ。
勝負どころ
学力は我々の技術と、本人の努力、保護者の協力である程度まではくる。だが、そのある程度のレベルを越えてさらに、上のレベルに行くためにはその人に強い心が育たなくてはいけない。今までは頑張ったんだ、それだけでよかった。言われたことを言われたようにやっていればよかった。要は受動的な努力ですんだ。ここからは絶対にここまで行くんだと思って決めてやる。実際に結果を出すんだ、という決意がいるのだ。そして、そのレベルは本人が、本人だけがやれることなんだ。我々は変わってあげることができない。我々はたんたんとやることをやる。本人さんの決意を待つ。本人の決意を待ちながら打てる手を打ち続ける。
旅の終わり
力が抜けて、頭がリセットできた。気持ちがいい快適な旅だ。お前は頑張ったんだな。これはそのご褒美だ。ゆったりすればいい。明日から再び戦わねばならない。シッカリ気持ちを休めることができた。列車が京都を出発した。もうすぐ名古屋に帰る。全力で顧客を支える。採用した人を手間隙かけて一人前に育てる。
乗り越えることのできない試練を神は与えない
神はその人に越えることのできない試練は与えない。越えられる試練だからその試練は課される。試練を乗り越えるにはどうしたらいいか。それは乗り越えられると信念しながら努力をたんたんと続けるだけでいい。やがて、すっと乗れなかった自転車が乗れるように越えられる。だから、この試練を越えてほしいのだ。必ず越えられる。
越えろ
君のために我々はやれるだけのことはやった。これからまだやらねばならないことはあるが、でも、やれるだけのことはやった。君もよくついてきてくれた。今までよくここまでやってきた。あとは、君がたった一人で越えていくことだけだ。これだけはわれわれは君に変わってあげることができない。君が越えるしかない。ここまでやってきた。越えられる。大丈夫だ。これが君に与えられた試練なんだ。必ず越えられる。越えられる。
一人旅
学生の時以来だろうか。本当に久しぶりに、一人旅だ。とても楽しみだった。今日がくるまで待ち遠しかった。汽車に乗って、本を読んで、外を眺めて、居眠りをして、お茶を飲んで。やがて目的地がみえてくる。もうすぐ広島だ。野球場が見えてくる。弱い球団になってしまったがここは私にとってのもう一つの故郷なんだ。市電に乗って、ホテルにチェックインする。予約した部屋に行く。なにもしない。そのあと、サウナに行く。頭が空っぽになっていく。さあ、そろそろ試合の始まる時間だ。着替えてタクシーに乗る。広島市民球場まで。スタジアムに入る。なぜか私はスタジアムに入ると、ああ今年もここに来ることができたんだな、と思って涙が出てくる。私にとってプロの野球場は夢なんだ。徐々に心が軽くなって、緊張から解放されていく。最近は試合を見るより空や月や芝生のみどりを眺めていることが多くなった。何も追ってこない。誰からも追われない。空白の時間が過ごせる。こんなに贅沢な時間を過ごせるなんて、神様、いや、妻よ、私のわがままを聞いてくれてありがとう。
家族との時間を大切にする
女の人は愛情をもって接すれば必ず応えてくれるものだ。子供も日々愛情をかけていれば、愛らしい、人から可愛がってもらえる子供になる。仕事に自信が出てきたら家族との時間を大切にする。どんなに仕事ができたって、家族と心が離れ、バラバラならそんな仕事はなんの意味もない。妻や子供を犠牲にして成り立つ成功など真の成功ではない。女の人は男が愛情を持ち可愛がれば必ず応えてくれるものだ。そして、どんどん可愛らしくなっていく。それを見て子供が結婚っていいな、自分が大人になったらこんな風になれたらいいな、と思う。それが家族との時間を大切にする、ということだ。もしも、その逆の家族を作りたければ全く反対のことをすればいい。女は男に不満を持ち、女は不満を子供に投影し、やがて子供は結婚や家族に否定的な考えを持つようになるだろう。絶対にやってはいけないことだ。